父と母の話
両親が出会ったのはお互い学生の時。
5歳上の父が母の受験勉強をみてあげたそうで、母は無事第一志望の高校に合格し、お付き合いがスタート。
お互いが初めての相手だったらしく、父が28歳、母が23歳の時に結婚しました。
父は一人っ子なので、両親との同居を望み、父の父、つまり私の祖父の名義で物件を購入して4人での生活が始まりました。
(父は購入当初自分がローンを払うと言ったらしいですが、結局祖父が支払っています)
祖父母もまだ働いていたので、家事は祖母と母が分担していたようですが、家事がまともにできない母に祖母は相当イラ立っていたようです。
本やマンガを読むのが大好きな母は読書を始めると洗濯機が止まろうが鍋が焦げようが全く気付かず読み続けます。
新婚当初だけでいくつの煮物の鍋がダメになったことか…と祖母がため息ついていました。
そんな祖母がある日、用事があってタクシーを呼んで出かけた時、タクシーの運転手さんにこんなことを言われたそうです。
「いつもお宅の娘さんにご利用いただきありがとうございます。」
なんのことかわからなかった祖母が運転手さんに聞いたところ、なんと母は毎朝通勤のため最寄り駅までタクシーを使っているとのこと。
家に帰ってから父を問いただすと、貧血が心配だから自分が使えと言ったと。
中学生くらいの時この話を聞いたのですが正直ドン引きでした…。
自分の不摂生で貧血になってるくせに、倒れるたびに毎回悲劇のヒロインぶる母もどうかと思っていたのですが、父が甘やかすことによってそれが助長されていたことにこの時初めて気が付きました。