トラウマの絵本
子どもの頃、何かにつけて妹を優先することを親から強要されていました。
おやつを選ぶ時、お菓子を選ぶ時、外食でどこのお店に入るか、などなど選択権は常に次女にありました(そしてなぜか三女Nが生まれた後も選択権は次女のまま)。
物心ついたときからずっとそうなので私自身それが当たり前のようになってしまっていたのですけど、それでもやはり自分で選びたい時はありました。
意を決して「わたしもこっちがいい!」と反論しても結局は妹の思い通り。
そんな時に母がいつも持ってきて私に読む本がこれでした。
母の毎回のキメ台詞
「お姉ちゃんが我慢したらそのぶんだけ花さき山に花が咲くのよ」
幼い頃、私が母を独り占めできるのはこの絵本を読んでもらう時か、風邪をひいた後、少し快方に向かっている時に他の本(印象に残っているのは「まどぎわのトットちゃん」と「ちいさなモモちゃん」「大きな森の小さな家」らへん)を読んでもらうときだけだったのもあって、その時は母の言うとおり私が我慢したらいいんでと思っていました。今思うとただの洗脳ですね。
しかし、三女Nが生まれ、成長して自己主張ができるようになってもなぜか我が家は次女ファーストのまま。
私が我慢する必要はともかく、Nが次女Mに譲る必要とは…?とだんだん洗脳が緩み始めました。
もう一冊トラウマの絵本。
こちらは、誕生日に幼稚園の先生が、ひとりひとりに違う絵本をチョイスしてくれて、私にくださった本です。
もらった時は、私がいつも妹を大事にしていることを幼稚園の先生はわかってくれている!と思いとても嬉しかったのを覚えています。
しかし、だんだん成長して親のやり方に疑問を覚え始めたときも、この本を見ると
「大好きだった幼稚園の先生は妹を大事にしてる私を評価してくれてたんだ」と感じ、その評価に恥じないようにしなくてはいけない、と思うようになってしまい、この本を見るのがつらくなってしまいました。
どちらもベストセラーですし、決して悪い本ではないと思います。ただ、親の読み聞かせや教育方針で、良書も悪書となってしまうことがあるというのは、自分の子どもに読み聞かせをするときに特に注意したいです。
林明子さんの絵は大好きなので、いまだにこの絵本が読めないのは少しつらいです。