母と私の話②
私の中で母を頼れる「大人」として見れなくなった一番の事件があります。
小学4年か5年のときだったと思うのですが、冬のある日、イオンシネマへ映画を見に行きました。
2本立ての映画で短編の方は三女N(当時2歳くらい)も楽しめそうとのことで姉妹三人で映画を見て、その間母は一人で買い物をする予定でした。
途中Nが少しぐずったりもありましたが、おおむね平和に見ることができて映画館から出てくると、そこには座り込んで号泣する母の姿が。
「ごめんねぇ…Nちゃんのくまちゃんどこかでなくしちゃったぁ…」
小さい頃、Nがどこへ行くにも離さず持ち歩いていたくまのぬいぐるみをイオン内で落としてしまったと言うのです。
なかなか泣き止まない母をなだめすかして手をひき、くまがいないことに気づいて不安がるNを抱っこし、早く帰りたがる次女Mを説得しながらイオン内を探すこと1時間。清掃の方が拾ってくださっていたことが判明し、くまは無事に帰ってきました。
帰宅後、父に話をすると
「見つかって良かったな。お母さんも大変やったなぁ、3人連れて映画は」
と言われ呆然としたのを覚えています。
Nのミルクや離乳食を作っていた頃から、母には頼れないと薄々思ってはいましたが、この事件が、母に対して何も求めてはいけないと思う一番のきっかけでした。